
Webflowでルートドメイン接続が難しい理由とCloudflareを活用するメリット
Webflowでカスタムドメインを利用する際、特に「ルートドメイン(apexドメイン)」をデフォルトドメインとして設定しようとすると、DNS標準仕様やSSL証明書運用上の制約によって問題が生じることがあります。
そこで、今回この記事では、なぜルートドメインへのCNAME設定が難しいのか、Squarespaceから直接Webflowのルートドメインへ接続できない理由、そしてCloudflareのようなDNSプロバイダーを活用するメリットについて解説します。

ルートドメインにCNAMEレコードを設定できない理由
WebflowはWebサイト作成に特化しており、サーバーやDNS設定の高度な管理機能を直接提供していません。そのため、「example.com」といったルートドメインを接続するにはDNS設定でAレコードの設定が必要です。Webflowは、利用するDNSプロバイダーの機能に応じて、AレコードまたはCNAMEフラットニングのいずれかを設定する方法を推奨しています。
しかし、DNSの標準仕様では、ルートドメインにCNAMEレコードを設定することは推奨されていません。ルートドメインには必須のDNS情報(SOA、NSなど)が必要であり、CNAMEレコードを設定するとこれらのレコードと衝突する可能性があるためです。その結果、ルートドメインはAレコードによる静的IPアドレス指定が基本となります。
この制約を回避するために、Cloudflareなど外部のDNS管理サービスを利用し、CNAMEレコードをAレコードに変換するなどの設定が必要になります。これらの理由から、Webflowでルートドメインを接続するには、外部ツールの利用が事実上不可欠となります。
SSL証明書とCNAMEフラットニングの必要性
Webサイトを利用するためには、情報を暗号化するといったセキュリティを保つことがとても重要です。そこで、SSL証明書などを利用して、Webサイトとブラウザ間の通信を暗号化し、データの盗聴や改ざんを防ぎます。
Webflowなど多くのホスティングサービスでは、SSL証明書を自動発行・更新するためにCNAMEレコードによる動的なホスト名解決もサポートしています。例えば、「example.com」のようなドメイン名を直接IPアドレスに紐付けるのではなく、CNAMEレコードを使って「webflow.hosting.com」といった別のドメイン名に紐付けて使用します。
この別のドメイン名は、Webflowが管理しており、IPアドレスが変わった場合でも自動的に対応してくれるため安心です。
しかし、この方法がルートドメインには使用できないため、その代わりとして「CNAMEフラットニング」などを利用する必要があります。CNAMEフラットニングは、DNSプロバイダー側でCNAMEレコードを内部的に解決し、最終的にIPアドレスをルートドメインに返す仕組みのことを指します。
これにより、ルートドメインでもCNAMEのような動きを実現でき、SSL証明書管理をスムーズに行うことが可能となります。
CloudflareやDNSimpleなどが提供する独自機能
各DNSプロバイダーでは、独自のCNAMEフラットニングやANAME、ALIASといった仕組みを提供しています。
これらのプロバイダーを利用することで、ルートドメインでCNAME相当の動作をさせることができ、Webflowを含む様々なホスティングサービスでSSL接続や動的なドメイン解決が容易になります。
弊社ではCloudflareを推奨しています。
Cloudflareについて
ただ、前述で紹介したDNSプロバイダーの中から、自社にあったプロバイダーを探すのは困難という方もいることでしょう。そこで、Boos7ではそんな方に、特に「Cloudflare」の活用をおすすめしています。Cloudflareのプランは、個人開発者や小規模サイトにとってWebflowのルートドメイン接続を円滑にする強力なツールとなります。ここからは、その理由やメリットについてご紹介します。
Cloudflareを経由するメリット
それでは、早速Cloudflareの無料プランを活用するメリットをご紹介します。

無制限のDDoS攻撃防御
DDoS攻撃(大量のアクセスを送り付けてWebサイトをダウンさせるサイバー攻撃)からWebサイトを保護します。攻撃の規模や量に関わらず、無料プランでも無制限で保護を受けられます。
グローバルCDN
世界中に配置されたサーバーネットワークを利用して、Webサイトのデータをキャッシュし、ユーザーがWebサイトにアクセスする際の表示速度を向上させます。
共有SSL証明書
Webサイトとユーザー間の通信を暗号化するSSL証明書を無料で提供しています。また、共有SSL証明書では、Cloudflareのドメイン名が証明書に表示されますが、Webサイトのセキュリティを確保することもできます。
Webアプリケーションファイアウォール(WAF)
Webアプリケーションに対するサイバー攻撃(SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなど)を防御する機能もあります。WAFは、Webサイトへの悪意のあるアクセスを検知し、ブロックすることでセキュリティを向上する効果があります。
DNS
Cloudflareの高速で信頼性の高いDNSサービスを無料で利用できます。CloudflareのDNSは、世界中に分散されたサーバーによって、高速で安定したDNS応答を提供し、Webサイトへのアクセスを円滑にします。
このように、Cloudflareを経由することでドメイン管理が容易になり、パフォーマンスとセキュリティ面で恩恵を受けられるといった魅力があります。
Cloudflare無料プランの将来性
Cloudflareは、将来的にも基本機能の無料提供は継続される見込みですが、ビジネスの成長に伴い、より高度な機能や柔軟性を求めるユーザーは有料プランへの移行を想定することもあると思います。無料プランはWebサイト運営の入門として最適ですが、事業拡大に応じてプラン変更を検討する必要性も視野に入れておくべきでしょう。
よくある質問(FAQ)
ここからは、よく寄せられる質問とその回答をまとめてご紹介します。製品やサービスについて疑問点がある場合の参考にしてみてください。
Q. ルートドメインへのCNAME設定の問題はWebflow特有ですか?
A.
ルートドメインへのCNAME設定禁止はDNS標準仕様によるもので、SSL証明書の自動管理上の要件は多くのホスティングプラットフォームが直面する共通課題です。Webflowに限らず、SquarespaceやWix、Shopify、Netlifyなど他のサービスでも同様の問題が起こり得ます。
Q. ルートドメインとサブドメイン「www」:どちらをメインにすべきでしょうか?
A.
技術的な設定容易性からは「wwwあり」の方がCNAMEを利用しやすく、設定も簡単な傾向にあります。一方、ブランディングやUX観点では「wwwなし」の方がよりシンプルな印象を与えます。いずれにしても、メインドメインをどちらか一方に統一し、もう一方からリダイレクトすることでSEOの観点上、有利です。
Q. なぜCloudflareやDNS Made Easyなど一部のプロバイダーのみ、ルートドメインのCNAME的機能を提供可能なのか?
A.
CNAMEフラットニングやANAME、ALIASといった機能はDNSで標準化されていない独自拡張です。これらを実現するにはプロバイダー側で特別なインフラやカスタム実装が必要となるため、全てのプロバイダーが対応しているわけではありません。
Q. SquarespaceからWebflowのルートドメインに接続できる方法はありますか?
A.
Squarespace側でAレコードをWebflowのIPアドレスに設定することで接続は可能ですが、WebflowのIPアドレスが変更される可能性があるため、推奨されません。Cloudflare等のDNSプロバイダーを利用するか、サブドメイン「www」をデフォルトドメインにして運用することで、この問題を回避できます。
Q. Cloudflareを導入するメリットは何ですか?
A.
Cloudflareを利用することで、以下のような多面的な改善が期待できます。
- CDNによるサイト読み込み速度向上
- DDoS防御やWAFによるセキュリティ強化
- CNAMEフラットニングによるルートドメイン設定の容易化
- 無料SSL証明書の自動発行
Q. Cloudflare無料プランで何ができますか?有料化される可能性はあるのか
A.
Cloudflareは長年無料プランを提供しており、現在も多くの機能を無料で利用できます。具体的には、CDN、SSL証明書、基本的なDDoS対策、CNAMEフラットニング対応、DNSホスティングなどが利用可能です。ただし、将来的な変更の可能性も考慮し、公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
まとめ
WebflowでルートドメインにCNAMEを設定できないのは、DNSの標準仕様による制約があるためです。SSLを適切に運用するには、CNAMEフラットニングやANAME/ALIAS機能が必要になります。この問題を解決するには、特にCloudflareの導入がおすすめです。Cloudflareは、CNAMEフラットニングに対応しており、サイトの表示速度を向上させるCDN機能や、セキュリティ強化、無料SSLの提供など、多くのメリットがあります。
ルートドメインでWebflowを利用し、SSL接続を確立したい場合は、CloudflareやDNSimpleなどの対応するDNSプロバイダーの導入をぜひ検討してみてください。何かお困りのことやご質問がある方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。