Figmaの概念を覆す新機能!「スロット」でコンポーネント設計が劇的に進化

Kouki T
デザイナー
Figma

Figmaが公式に配信したYouTube動画で、スロット機能についての講演が行われていました。

現時点ではまだ一般公開されていない機能ですが、その革新性はデザインシステムのあり方を根本から変える可能性を秘めています。

本記事では、このFigmaの革新的な新機能「スロット」について、従来の課題解決とデザインシステムへの影響を中心にわかりやすく解説します。

従来のFigmaコンポーネント設計における3つの課題と解決策

従来のコンポーネント設計で生じていた3つの主要な課題に対し、スロット機能がいかに効率的かつ柔軟な解決策を提供するのかを、解決策とともに解説します。

課題1. 柔軟な要素の組み込みの難しさ

従来のFigmaでは、要素を自由に組み入れることが難しく、コンポーネントの構造が硬いという課題がありました。

 スロットによる解決策

インスタンス作成時に、必要な要素を自由に追加でき、構造を柔軟に変更できます。

課題2. 変更・管理時の煩雑さ

デザイン変更のたびに、メインコンポーネントで都度修正したり、インスタンス内の要素を目隠し(非表示)にする手間が発生し、管理のために隠しレイヤーが過剰に増えるという課題がありました。

 スロットによる解決策

メインコンポーネントで修正を加えずとも、また目隠し(非表示)を行わなくても要素を自由に組み入れることができます。

課題3. バリアントの追加

様々なデザインパターンに対応するため、多数のバリアントを作成する必要があり、管理が複雑化していました。

 スロットによる解決策

バリアントの数を減らし、より効率的なコンポーネント管理が可能になります。デタッチ(インスタンスの切り離し)せずに要素を組み込める点も大きなメリットです。

コンポーネントの柔軟性の比較

従来のコンポーネント設計は、柔軟性に欠ける「画一的な(柔軟性に欠けた)状態」にありました。

従来の方法(画一的な状態)

コンポーネントの構造が固定されており、要素の追加や変更が困難でした。様々なパターンに対応するためには、事前に全ての組み合わせを網羅するバリアントを大量に用意しておく必要があり、これがコンポーネントの構造を柔軟ではない状態とし、メンテナンスを複雑化させていました。

スロット機能(柔軟な状態)

インスタンスの中に必要な要素を自由に組み入れることで、まるで自由に操れるような状態になります。インスタンスを作成した後でも、必要な要素を追加したり、不要な要素を削除したりすることが、親コンポーネントとのリンクを保ったまま可能になりました。

バリアントとスロットの組み合わせ

バリアントとスロットを合わせて活用する方法をご紹介します。

従来のバリアントの使い方

従来の方法では、バリアントで要素をセットにして、自由に切り替えられるようにしていました。例えば、ボタンのバリアントで「アイコンあり」「アイコンなし」を切り替えるような使い方です。

スロット機能による拡張

スロット機能では、バリアントとスロットを組み合わせることで、より柔軟な設計が可能になります。

  • バリアントの中にスロットを入れることができる
  • スロットの中にさらに要素の中にバリアントを入れて要素を切り替えることができる
  • スロット自体を入れることで、アセットのライブラリで要素の変更を簡単にすることができる

この方法により、要素の組み入れが自由にできるようになり、コンポーネントの再利用性が大幅に向上します。バリアントとスロットをどう設計するかは、「許容する自由度」と「デザインシステムとしての制御のしやすさ」のバランスが重要です。最適なバランスを見極め、使用目的やチームの運用ルールに合わせた設計が求められるでしょう。

ボタンコンポーネントの具体例

以下にボタンコンポーネントの具体例をまとめました。

様々なボタンコンポーネントのパターンへ

例えば、ボタンでも下記のように様々なパターンを作成できます。

  • アイコンあり・なし
  • テキストのみ・アイコンとテキスト
  • 左寄せ・中央揃え・右寄せ
  • 異なるサイズのアイコン
  • 複数のアイコン配置

スロット機能を使った実装

スロット機能を使えば、インスタンスの中に要素を入れることができます。バリアントの中でも要素を入れることができ、以下のような調整も可能です。

  • オートレイアウトの修正
  • 要素の順序変更
  • 要素の追加・削除

統合的なアプローチ

このような様々なボタンのデザインを1つのコンポーネントから作成し行うことで、自由に要素を組み入れることができるようになります。要素をドラッグ&ドロップで操作をすることができるので、非常に簡単です。

また従来のように、様々なパターンごとに別々のバリアントを作成する必要がなくなり、1つのコンポーネントで多様なパターンに対応できるようになります。

期待されるメリット

新機能に期待されるメリットは以下の通りです。

デザイン効率の向上

  • コンポーネントの作成時間が短縮される
  • バリアント作成工数を減らすことができる
  • バリアントのメンテナンスが容易になる

柔軟性の向上

  • 様々なデザインのパターンに対応できる
  • インスタンス作成後の変更が容易になる
  • メインコンポーネントとのリンクを維持しながら要素の組み込みが可能になる

チームでの協業

  • コンポーネントの使い方が統一される

従来のFigmaでは、柔軟性の低いコンポーネントに手を加える際、ユーザー(デザイナー)が「要素を削除するために目隠し(隠しレイヤー)を使う」「やむを得ずデタッチ(インスタンスの切り離し)をする」など、個々のやり方で対応する必要がありました。

スロット機能では、要素の追加や削除、順番の変更などが、親コンポーネントとのリンクを保ったままドラッグ&ドロップという簡単な、統一された操作で行えるようになります。これにより、デザイナーごとに操作方法が異なるといった非効率や誤操作がなくなります。

  • コンポーネントライブラリの管理が容易になる

スロット機能によって作成する必要があるバリアントの数が大幅に減るため、デザインシステムの核となるライブラリの管理がシンプルになります。

リリース状況

Figmaの公式動画で紹介されている機能ですが、具体的なリリース時期は公表されていません。そのため、今後のアップデートに注目する必要があります。

まとめ

Figmaのスロット機能は、バリアントの増加やデタッチの課題を解決し、コンポーネント設計を劇的に進化させます。

親とのリンクを保ったまま要素を自由に組み込めるようになり、柔軟性と統制を両立した効率的なデザインシステム構築を可能にします。効率性と柔軟性を両立する「スロット」は、まさに長年の課題を解決する切り札となります。ぜひ導入を検討し、チームの生産性向上にお役立てください。

この記事を監修した人
Kouki T
デザイナー
2024年にデザイナーとしてIGNITEに入社。10代からWebデザインを独学で学びWeb・グラフィック・動画など様々な分野の制作に携わっている。 現在はWebflowの技術を活かしデザイン・SEO・運用あらゆる面でのクオリティを高めたWebサイトを構築し、クライアントの集客力アップに繋げている。
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